素粒子・原子核
ミクロの世界の3体・4体問題への誘い
- 講師
- 肥山 詠美子 (東北大学大学院理学研究科)
- 原子核物理の理論的研究をやっています。
- http://www.nucl.phys.tohoku.ac.jp/
- 肥山 詠美子 (東北大学大学院理学研究科)
- 内容
- 物質をどんどん小さくすると、原子、そして、原子は電子と原子核で構成されます。 原子核は陽子と中性子で構成されます。この陽子と中性子で構成される原子核は多様な性質を持っており、この性質を理論的に解き明かすことが重要となっています。 私は、原子核を「ミクロの世界の個々と集団」という観点で研究を行っています。 これはどういうことなのか、何が重要なのかを人間社会の集団と構成員に例えてお話します。
世界中の加速器を使って展開する素粒子・原子核の実験研究
- 講師
- 金田雅司(東北大学大学院理学研究科)
- クォークから出来ているものを対象として、加速器を使った実験を行っています。
- http://lambda.phys.tohoku.ac.jp/
- 内容
- 素粒子・原子核の研究では目的に応じた加速器を使って行うことが多く、色々な国や地域の大学・研究所の人が集まって実験を進めます。今回の講義では、大学院生時代から現在まで私が研究を行ってきた実験の内容や加速器施設の紹介を行うと共に、この分野の実験研究が計画・建設・実施・解析などのプロセスがどのように進められているかの話を行います。また、世間に直接には役に立たない(営利活動に繋がらない)基礎研究が、どのように役に立っているかについても紹介したいと思います。
- 金田雅司(東北大学大学院理学研究科)
放射線と放射性物質 -素粒子・原子核物理の研究者として-
- 講師
- 金田雅司(東北大学大学院理学研究科)
- 内容
- 東日本大震災に伴う福島第一原発事故以降、実際の生活ではこれまであまり意識されていなかった放射線・放射性物質に関心が高まると共に、不確かな情報も出回っています。 放射線と放射性物質が何かは、素粒子・原子核の研究を通して明らかになっています。 実際に放射線・放射性物質について考える場合には、物理・化学・生物・地学と理学の知識だけでなく、測定技術である工学、そして社会での合意形成方法など広い分野にわたる専門家の知識の集約が必要です。
この講義では、放射線・放射性物質が何であるかをわかりやすく説明すると共に、素粒子・原子核物理の研究との関連について話をします。 純粋な知的好奇心で行われている研究から、応用、いわゆる「役に立つ」こと、がどのように生まれてきているか、そして「科学とは何か?」「科学的な見方とは何か?」や、「科学で答えられるもの」と「科学で答えられないもの」の違いについても話をしたいと思います。
- 東日本大震災に伴う福島第一原発事故以降、実際の生活ではこれまであまり意識されていなかった放射線・放射性物質に関心が高まると共に、不確かな情報も出回っています。 放射線と放射性物質が何かは、素粒子・原子核の研究を通して明らかになっています。 実際に放射線・放射性物質について考える場合には、物理・化学・生物・地学と理学の知識だけでなく、測定技術である工学、そして社会での合意形成方法など広い分野にわたる専門家の知識の集約が必要です。
低温・超伝導
極低温の世界
- 講師
- 木村憲彰(東北大学理学研究科、東北大学極低温科学センター(兼任))
- 専門は低温物性、特に磁性と超伝導の研究を行っています。
- http://www.vlt.phys.tohoku.ac.jp/
- 佐々木孝彦(東北大学金属材料研究所低温電子物性学研究部門)
- 分子や高分子(ポリマー)が集合してできている「やわらかい」有機物質・材料の物性研究、特に低温での電気伝導・超伝導の研究をしています。小学生対象の科学ボランティア・出前授業などもしています。
- http://cond-phys.imr.tohoku.ac.jp/
- 内容
- 物質の性質は温度によって大きく変化します。たとえば、水は0℃以下では突然その性質を変えて固体(氷)になったり、100℃以上では気体(水蒸気)になったりします。室温で気体として存在する窒素や酸素も、温度を下げてゆくと液体や固体に変化します。また、見た目の形に変化はなくとも、突然性質を変える現象も知られています。たとえば超伝導と呼ばれる現象は、物質中の電子が重要な役割を演じています。授業では液体窒素(沸点マイナス196℃)を使って、このような分子や電子の性質の変化を観察します。
授業は標準で1時間程度ですが、ご希望にあわせて柔軟に対応いたします。演示実験を行いますので、生徒数は20名から30名くらいが適当ですが、ビデオカメラをご用意いただいてスクリーンに映し出すことができれば、大人数でも大丈夫です。
- 物質の性質は温度によって大きく変化します。たとえば、水は0℃以下では突然その性質を変えて固体(氷)になったり、100℃以上では気体(水蒸気)になったりします。室温で気体として存在する窒素や酸素も、温度を下げてゆくと液体や固体に変化します。また、見た目の形に変化はなくとも、突然性質を変える現象も知られています。たとえば超伝導と呼ばれる現象は、物質中の電子が重要な役割を演じています。授業では液体窒素(沸点マイナス196℃)を使って、このような分子や電子の性質の変化を観察します。
- 木村憲彰(東北大学理学研究科、東北大学極低温科学センター(兼任))
電子と超伝導
- 講師
- 佐藤宇史(東北大学大学院理学研究科)
- http://arpes.phys.tohoku.ac.jp/index.html
- 内容
- 「磁石にくっつく」「電気を流す」などといったものの性質は、物質中の電子の振る舞いによって決定されます。私達が日常何気なく使っている携帯電話や家電製品などにも、電子の性質がうまく活用されています。授業では「超伝導」を中心とした電子のもつ驚くべき性質を紹介するとともに、液体窒素を用いて超伝導のデモンストレーション実験を行います。
物質科学
不思議な水 -ナノ空間に閉ざされた水のふるまい-
- 講師
- 松井広志 (東北大学大学院理学研究科)
- http://ldp.phys.tohoku.ac.jp/
- 内容
- 水はもっとも身近な物質だが、未だ解明されていない性質が多々ある。例をあげると、4℃のとき最も密度が大きいのはなぜか?液体状態における水の構造はどうなっているか?などである。液体状態における通常の水を、自由水と呼ぶ。これとは対照的に、ナノ空間に制限された水分子を、閉ざされた水と呼び、学際的な研究が進んでいる。こうした水分子は、タンパク質、DNA、燃料電池などの基本的特性にも関係し、重要な役割を果たしている。
私の研究グループでは、電磁波を用いてナノ空間に閉ざされた水の特性を調べている。ナノ空間といっても、チューブ型の形状、平面状の隙間、カゴ状の空間など様々な構造がある。こうした空間に存在する水分子は、自由水と異なる特性を示し、特異なクラスター構造を見出すことができる。また最近、1次元ナノチャンネル中に形成された水ナノチューブにおいて、それを媒介とした高いプロトン伝導性の観測にも成功している。本授業では、学際的な視点から閉ざされた水の研究の面白さと、最新の話題を紹介したい。
- 水はもっとも身近な物質だが、未だ解明されていない性質が多々ある。例をあげると、4℃のとき最も密度が大きいのはなぜか?液体状態における水の構造はどうなっているか?などである。液体状態における通常の水を、自由水と呼ぶ。これとは対照的に、ナノ空間に制限された水分子を、閉ざされた水と呼び、学際的な研究が進んでいる。こうした水分子は、タンパク質、DNA、燃料電池などの基本的特性にも関係し、重要な役割を果たしている。
酸素とセラミックスのイオンなカンケイ
- 講師
- 川田達也 (東北大学大学院 環境科学研究科)
- 燃料電池や水素エネルギーなど,環境負荷の小さい将来のエネルギー利 用についての研究をしています
- http://www.ee.mech.tohoku.ac.jp/
- 内容
- 「セラミックス」は,無機物の小さな結晶がたくさん集まってできてい ます。その結晶は,金属と酸素や窒素が結合して整然と並んだ格子から 成っており,その構成元素の種類や並び方によって,絶縁体から半導 体,さらには超伝導体まで,様々な性質を示すものが存在します。中に は,水溶液のようにイオンが動いて電気を通す材料もあります。実は 今,次世代の高効率発電装置「燃料電池」の材料として,このようなイ オン導電性セラミックスが注目されています。この授業では,セラミックスがイオンを通すしくみについてお話し,これを使った「固体酸化物形燃料電池」の開発現場のup-to-dateな情報を紹介します。
電子顕微鏡で見る原子の世界
- 講師
- 寺内正巳(東北大学多元物質科学研究所)
- 電子ナノプローブを使った物理実験
- https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/terauchi/html/index-j.html
- 内容
- 全ての物質は原子からできています。しかし、原子の大きさは1億分の1センチメートル程度と極めて小さく、われわれの良く知っている光学顕微鏡では見ることができません。しかし、光の代わりに電子を使った電子顕微鏡を用いることで、原子を直接目で見ることに人類は初めて成功しました。では、どうして電子を使うと原子が見えるようになったのでしょうか?また、電子顕微鏡でわれわれの周りの世界がどの様に見えてくるのかについて話をします。
波としての日常の物理現象
- 講師
- 須藤彰三(高度教養教育・学生支援機構 )
- 内容
- 物理というと何となく堅苦しいイメージがあるかも知れません。しかし、物理はごく日常われわれの回りで起こっている現象をあつかう学問です。授業では”波”という言葉で分類することのできる水を伝わる波、地震(地面を伝わる波)、音(空気を伝わる波)、光(真空を伝わる波)等の現象がどのような”波”という同じ性質を持っているのかについて話をします。
電気が流れるやわらかい有機材料
- 講師
- 佐々木孝彦(東北大学金属材料研究所低温電子物性学研究部門)
- 分子や高分子(ポリマー)が集合してできている「やわらかい」有機物質・材料の物性研究、特に低温での電気伝導・超伝導の研究をしています。小学生対象の科学ボランティア・出前授業などもしています。
- http://cond-phys.imr.tohoku.ac.jp/
- 内容
- 一般に、プラスチックなどの有機物は電気が流れない絶縁体として身近で使われています。一方で、最近では、携帯端末に有機ELディスプレーが多く使われ、新聞などでは、折りたためる柔らかいフレキシブルエレクトロニクスの開発などの記事も見られます。分子や高分子(ポリマー)が集合・集積してできている有機物質・材料になぜ電気が流れるのか、またどのように作られるのか、そしてどこに利用されるのかについてお話しします。ミクロな物理的視点とマクロな材料的視点の両方から面白くて役に立つ「やわらかい」有機物質・材料を考えてみたいと思います。
生物物理
物質から生命へ
- 講師
- 今井正幸(東北大学大学院理学研究科物理学専攻)
- 専門分野はソフトマター物理学です。具体的には物質からみた生命誕生の 謎を物理の立場から解き明かそうとしています。
- https://www.bio.phys.tohoku.ac.jp/
- 内容
- 最近、惑星や小惑星を探査して生命の痕跡を捜すプロジェクトが多く行なわれています。生命は我々がよく馴染んでいる有機分子、とくに両親媒性分子・液晶・高分子などの物質(ソフトマター)から構成されており、単純なソフトマターは地球の外でも見つかっています。しかし、そのような分子から、どのようにしたら生物が生まれるのか、はまったくの謎です。そこで、いま世界では、人工的に生命を合成しようとする研究が非常に盛んに行なわれています。そのような研究を通して、物質が生命へと進化するにはどのようにしたらいいのかが、少しずつわかり始めています。今回は、生命の持つ最も基本的な機能をどのようにしたら再現できるのか?ということを物理の立場から検討して、そこからみた生命の起源に迫ってみたいと思います。そして、宇宙の謎、物質の謎に加えて生命の謎に迫ろうとする物理の世界を一緒に考えてもらえればと思います。
光・波
見えない光で観る
- 講師
- 江島丈雄(東北大学多元物質科学研究所)
- 東北大学 理学部および理学研究科卒 理学博士
- 専門は、真空紫外・極紫外・軟X線領域(30nm~2nm)の光の利用法と光学素子開発、 さらに開発した利用方法と光学素子を用いた物性研究を行っています。
- 内容
- 我々が見ている光は、380 nm から 50 nm の波長をもつ可視光と呼ばれる電 磁波です。この可視光を用いて小さい物体を観察する手段が光学顕微鏡ですが、波長 より小さい物を見ることは出来ません。より小さな物を見るために色々な方法があり ますが、そのひとつは光の波長を短くすることです。波長が短い光(波長200 nm以下)には、可視光とは異なる独特の性質があります。授業では、実際に我々が開発 している透過型X線反射多層膜顕微鏡(TXM3)とその原理を述べ、さらにこれらの技術の重要な応用先として半導体リソグラフ技術との関連についても触れます。
レーザーによる光速測定と超高速分光
- 講師
- 吉澤雅幸(東北大学大学院理学研究科)
- 専門分野はレーザーを用いた超高速分光です。光合成で光エネルギーを効率よく集める仕組みを研究しています。
- https://web.tohoku.ac.jp/sspp/yoshizawa/
- 内容
- レーザーはアインシュタインが1905年に原理を提唱し、1960年に発明されました。レーザー光の最大の特徴は、電灯などの通常の光とは違いコヒーレンス(可干渉性)と呼ばれる性質をもっていることです。このため、レーザー光を自在にあやつることにより、単色性がよい光、時間的に短い光パルス、非常に強い光などを作ることができます。現在では、さまざまなレーザーが開発され、幅広い分野に応用されています。
授業ではレーザー光の特徴について話をし、応用実験として半導体レーザーとオシロスコープを用いた光速測定を行います。この授業で用いる光速測定法を応用することにより、遠く離れた距離の精密測定や光パルスの時間制御を行うことができます。時間制御されたレーザー光を用いると、フェムト秒(1000兆分の1秒)という非常に短い時間領域の研究(超高速分光)を行うことができます。超高速分光を用いた最先端の研究例として、光合成の研究について紹介します。
光の色とエネルギー
- 講師
- 吉澤雅幸(東北大学大学院理学研究科)
- 専門分野はレーザーを用いた超高速分光です。光合成で光エネルギーを効率よく集める仕組みを研究しています。
- https://web.tohoku.ac.jp/sspp/yoshizawa/
- 内容
- 光の持つ重要な性質である色(スペクトル)とエネルギーの関係について簡単な実験を交えて授業をします。光の色を分ける光学素子には、プリズムと回折格子があります。授業では、回折格子を用いて白熱電球、蛍光灯、LEDなどの電灯を観察します。電灯の色と発光原理の関係について学び、エネルギー効率について考えます。また、私たちが色を感じる仕組みである三原色の原理についても簡単な実験を行います。
最先端の研究例として、レーザーを用いた光合成の研究について紹介します。太陽から地球に届く光にはあらゆる色が含まれています。いろいろな色の光を効率よく利用するために、自然は緑色(クロロフィル)と赤色(カロテノイド)の色素を準備しています。この仕組みを理解して効率よい光エネルギーの利用方法を実現することで、エネルギー問題の解決につながると期待されています。
光を曲げる、光を操る
- 講師
- 冨田知志(東北大学大学院理学研究科)
- メタマテリアルという、光をあらぬ方向に曲げたり、物を見えなくしたりできる一風変わった物質を研究しています。
- https://web.tohoku.ac.jp/sspp/tomita/jpn/index_j.htm
- 内容
- 光の操り方について、簡単な実験を交えて授業をします。授業ではペットボトルや水、砂糖など、身の周りものを用いて光を曲げる実演をします。これを 通して、光と屈折率の関係について学び、どのようにすれば光を曲げられるか、思い通りに光を操るにはどうすれば良いか、について考えます。そしてそれらの 技術が、われわれの日常生活のどういうところで役に立っているかも考えます。
最先端の研究例として、僕たちが実現しようとしているメタマテリアルについ ても紹介します。天然に存在する物質ではなく、人間が設計して作ったとても小さな構造のあつまり(メタマテリアル)をもちいることで、光を自在に操ることができます。この仕組みを利用すると透明マントなどが実現できる、と期待されています。
表面の物理と電子技術立国日本
- 講師
- 須藤彰三(高度教養教育・学生支援機構 )
- 内容
- 現在の日本は、電子技術立国といっても過言ではありません。その根幹は、半導体産業ということができます。半導体といわれる物質を使ってIC(集積回路)を作るには、ミクロン程度の大きさの電気回路を極めて正確にかつ高密度に作る必要があります。それを実現するためには極めて正確な物質の表面処理技術が必要であり、そこに表面の物理学が大きく貢献しています。